パリ五輪ボクシング女子金メダリストのイマネ・ケリフ選手、ネットの誹謗中傷に対し訴訟を起こす―J.K.ローリングやイーロン・マスクにも言及

パリオリンピックのボクシング女子66キロ級で金メダルを獲得したイマネ・ケリフ選手が、大会で性別を偽っていたとして不当にバッシングされた後、誹謗中傷に対して訴訟を起こしたという。Varietyが伝えている。

イマネ・ケリフ選手は、アルジェリア代表のボクサー。彼女は今回のパリオリンピックで、ネット上はじめ、複数の公人からも「男性である」と非難され、論争に包まれた。

この憶測は2023年の世界選手権で、IBA（国際ボクシング協会）が、染色体検査に基づいてケリフを失格にしたことから生じた。このため、彼女はトランスジェンダーの選手ではないか、あるいは男性の染色体を持っているのではないかという根拠のない非難やウワサが飛び交い、「男性」が女子の部に出場しているという主張が巻き起こった。

イマネ・ケリフ選手は女性であり、女性として生まれ育ち、女子ボクシングに出場する資格は十分にあると断言し、IOC（国際オリンピック協会）もケリフは女性として出場する資格基準を満たしていることを確認している。

ケリフはネット上での誹謗中傷を受け、フランスでX（旧ツイッター）に対して訴訟を起こしたとVarietyが報じている。

ケリフは、『ハリー・ポッター』の作者のJ.K.ローリングや、Xのオーナーである実業家のイーロン・マスクなど、複数の有名人について言及している。この2人は、ケリフについて否定的なコメントをネット上に書いた著名人だ。

J.K.ローリングは、台湾代表のリン・ユーティンとケリフを巡る論争についてのガーディアン紙の記事を共有。「この狂気を終わらせるためには何が必要？女性ボクサーが人生を変えてしまうようなケガを負うこと？ 女性ボクサーが死亡すること？」と投稿。

さらに翌日には「私たちの新しい男性の権利運動をこれ以上うまく要約できる写真があるだろうか？自分が女性差別主義者のスポーツ団体に守られていることを知っている男性が、頭を殴り、人生の野心を打ち砕かれた女性の苦痛を楽しんで微笑んでいる」と、ケリフをバッシングした。

また、イーロン・マスクは競泳のライリー・ゲインズの「女性のスポーツに男は関与するな」と、ケリフに負けた選手の写真を添付した投稿を引用し、「まさにそうだ」とコメントして拡散した。

ケリフの弁護士は戦略について「匿名の憎悪に満ちたメッセージや、別の名前を使ったメッセージを書いた人物を含め、検察側がすべての関係者に対して捜査できるようにするため」と述べている。

同弁護士は、「J.K.ローリングやイーロン・マスクらが訴訟で名指しされている。ドナルド・トランプもツイートしたので、彼が私たちの訴訟で名指しされようがされまいが、起訴の一環として調べられるのは必至です」「私たちが求めているのは、検察がこれらの人々だけでなく、必要だと思う人物を捜査することです。裁判になれば、彼らは裁判を受けることになる」と付け加えた。

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