女性たちを支援し続けたYouTube元CEOのスーザン・ウォジスキ、56歳で死去肺がんで2年闘病
YouTubeの大規模な成長期を支え、CEOを9年間務めたスーザン・ウォジスキが、8月9日に56歳の若さで亡くなったことを、彼女の夫であるデニス・トロパーさんがSNSで発表した。彼女はグーグルの最初の従業員の一人でもあった。2年間にわたって肺がんと闘っていたという。
デニス・トロパーさんは投稿で、「深い悲しみとともに、スーザン・ウォジスキの死去をお知らせします。26年間に渡り愛する妻であり、私たちの5人の子供たちの母であるスーザンが、2年間にわたる非小細胞肺がんとの闘病の末、彼女は今日、私たちのもとを去りました」と述べた。
さらにトロパーさんは「スーザンは私の親友であり、人生のパートナーであっただけでなく、優れた知性を持ち、愛情深い母であり、多くの人にとって大切な友人でもありました。彼女が私たちの家族や世界に与えた影響は計り知れません。私たちは悲しみに暮れていますが、彼女と過ごした時間に感謝しています。この困難な時期を乗り越えるため、どうか私たちの家族を思いに留めてください」と、妻との時間について振り返った。
スーザン・ウォジスキは1968年7月5日カリフォルニア州サンタクララで生まれ、1990年にハーバード大学で歴史と文学の学士号を取得し、1993年にカリフォルニア大学サンタクルーズ校で経済学の修士号を取得した。1998年にはUCLAアンダーソン経営大学院でMBAを取得している。1998年8月23日に現在グーグルで製品管理ディレクターを務めるデニス・トロパーさんと結婚した。
グーグルのCEOであるサンダー・ピチャイは、X(旧ツイッター)にて追悼の言葉を投稿し、「2年間のがんとの闘いの末、親しい友人であるスーザン・ウォジスキを失ったことに、信じられないほどの悲しみを感じている。彼女はグーグルの歴史において欠かせない存在であり、彼女なしの世界を想像するのは難しい」と述べた。
ピチャイは続けて、「彼女は素晴らしい人物であり、リーダーであり、友人であった。彼女は世界に多大な影響を与え、私を含む無数のグーグル社員が、彼女を知ることで成長することができた。彼女を非常に恋しく思うだろう。我々の思いは彼女の家族と共にある。安らかに、スーザン」と語った。
スーザン・ウォジスキは2014年にYouTubeのCEOに任命された。2023年2月にCEOを退任し、引き続き会社のアドバイザーとして残った。
2016年のYouTubeのマーケター向けイベントで、彼女は「テレビが視聴者を失っている一方で、YouTubeはすべての地域、すべてのスクリーンで成長している」とYouTubeの成長について述べた。また翌年には、テロリズムやヘイトスピーチを含む不適切なコンテンツと共に流された広告に対して広告主がボイコットする事態に対処し、より厳格なセーフティポリシーを導入した。
ウォジスキは、産休を含む家族に向けた福利厚生の推進派であった。2015年には、米専門誌「Variety」にて「パワー・オブ・ウーマン」を受賞。その際、彼女は「YouTubeで他の女性を支援できる機会を得た」「女性が持つ可能性を感じている。仕事と家庭をどうやって両立させるかを考え、指導することを楽しんでいる」と仕事と家庭の両立について語ってきたウォジスキは特に女性から共感を集めていた。
ユーチューブのCEOを引き継いだニール・モーハンは、「17年前、スーザンと出会えたのは幸運だった。彼女はダブルクリック(アメリカのインターネット広告配信会社)買収の立案者だった」と述べ、Xで「彼女の遺産は、彼女が触れたすべてのもの、グーグルとYouTubeのすべてに生き続けている。彼女の友情と指導に永遠に感謝している。彼女を非常に恋しく思うだろう。彼女の家族と愛する人々に心からの哀悼を捧げる」と語った。